日常の些細な出来事や、見過ごされがちな人生の瞬間を、詩の洪水の中に再構築していく
― ジャン=ミシェル・ゴルチエ
RegArts ジャン=ミシェル・ゴルチエ評
2024年6月28日掲載
2024年6月28日掲載
白い風景が広がり、その中に点在する大小の白い風船。俳優はその手の動きで、詩的な世界を精緻に描き出していきます。無言のまま、彼の表現は生命の根源からその力を引き出すかのようです。奥野衆英はマルセル・マルソーの正統な後継者として、ジェスチャーの美しさと日本の詩「俳句」の簡潔さを融合させた表現の世界に私たちを引き込みます。
ジョルダン・チュマリンソンの音楽を背景に、奥野は詩情に満ちた短い物語を紡ぎ出し、マイムの巨匠の精神を体現します。日常の些細な出来事や、見過ごされがちな人生の瞬間を、詩の洪水の中に再構築していく彼の表現は、静寂の中で織り成され、「沈黙の芸術」は、人生のささやかな瞬間に光を当て、それらが持つ詩的な意味を際立たせます。その語りは言葉を超えた普遍的な言語で、控えめながらも深い感動を与えるものです。 この抑制された美しさ、言葉に依らない表現に込められた普遍的な意味に、心惹かれずにはいられません。場面ごとに物語が展開され、次第に肉付けされ、観客の心を深く揺さぶります。 フランスと日本の芸術を融合させた彼の独自の技術は、彼に特有の独創性をもたらしています。ぜひ一度、トランスヴェルサル劇場で彼の舞台を体験してください。それはまるで口の中でとろける甘いキャンディーのようですから。 ― ジャン=ミシェル・ゴルチエ |
ジャン=ミシェル・ゴルチエ
(フランスの演劇評論家。舞台芸術に関する鋭い洞察と詩的な表現で知られ、特にアヴィニョン演劇祭をはじめとする多くの劇場での公演レビューを手がけ、観客やアーティストから高い評価を受けている。作品の本質を的確に捉え、言葉を超えた感情や芸術の美しさを伝える批評に定評がある。) Critique Blanc de blanc de Shu OKUNO / RegArts(原文) |