本誌お薦めの作品。子供から大人まで魅了された他にはない公演。観客はその身体的で舞踊的な物語に引き込まれ続けます。
― パオラ・ゴメス
『カンパニー桜文月社による詩的で美しいジェスチャーアート』パオラ・ゴメス評
2024年7月21日掲載
2024年7月21日掲載
【本誌お薦めの作品】
舞台上には、さまざまなサイズの白い球体が散らばり、思いがけない風景が広がります。その中で、白いハイウエストのサスペンダー付きパンツと短い帽子を身に着けた幻想的な人物が登場します。この人物を演じるのは、日本人アーティストの奥野衆英。マイムアーティストであり画家でもある彼は、軽やかな動きで空間を再構築し、観客を穏やかな想像の旅へと誘います。 言葉を使わず、ピアノの旋律に合わせて、彼は6つのシーンを披露し、それぞれのタイトルを黒板にチョークで記します。タイトルは「トワイライト・アワー」「日曜日の雰囲気(2020年制作)」「コズミックジョーク」「仕立屋」「Blanc de blanc」、そして最後に「自画像」。これらの詩的で繊細な人生の断片は半ば自伝的であり、観客を夢想へと誘います。奥野衆英の才能は、踊るような身体とジョルダン・チュマリンソンの音楽が見事に調和し、シンプルでありながら感動的な形で表現されます。 彼のマイムは、マルセル・マルソーやエティエンヌ・ドゥクルーといった巨匠たちへのオマージュでもあり、豊かで精緻な身体の文法を提供します。この感受性豊かな存在は、現実または架空の環境や感情からインスピレーションを得ており、時折観客と対話する場面もあります。観客はその身体的で舞踊的な物語に引き込まれ続けます。 「トワイライト・アワー」では、夕暮れ時の青い光が舞台を包みます。パリのアトリエで疲れ切ったピアニストが、ある奇妙な空間に引き寄せられます。彼の身体はスーツケースに導かれるように、不思議な踊りにに巻き込まれるというシーンです。洗練され、美しい美学を持つ情景です。「日曜日の雰囲気(2020年制作)」では、ある理由で小さな空に閉じ込められた登場人物が、都市の空間、人々、街の音を夢見ます。この作品はパンデミック中のロックダウンの間に作られ、人間の状況や未来への不安、そして身体が想像力を通じてどのように解放されるかを語ります。 「仕立屋」では、観客をアトリエの中心へと誘い、キャラクターが布を切り、縫い、ミシンを使う緻密な動作を披露します。このシーンは、エティエンヌ・ドゥクルーの作品「大工」「種まく人」「工場」を連想させるもので、ドラマティックな身体表現のマイムの力強さを示します。 「Blanc de blanc」の本質へと向かうクライマックスでは、「舞台設営」のシーンで光の都(パリ)や田園風景を舞台上で滑空するように描きます。この場面は美しい抒情的な高揚感をもたらし、魔法のような時間を作り出します。子どもから大人まで魅了された他にない公演と、奥野衆英の見事で情熱的なパフォーマンスに拍手が送られます。振付、舞台美術、音楽、衣装、照明のすべてが見事に調和し、このソロ公演の美しさと魅力を形作っています。 Critique Blanc de blanc de Shu OKUNO / théâtre actu(原文) |